BOSEの「Quiet Comfort 35」(QC35)ノイズキャンセリング・Bluetooth対応ワイヤレスヘッドフォンの購入・実機レビュー。NC対応のヘッドフォンとしては一つ抜きん出ているBOSE製品ですが、QC25をワイヤレス化したとも言えるモデルがQC35です。
今回は音質、ノイズキャンセリング機能、フィット感、携帯性などを評価していきます。
BOSE Quiet Comfort 35の実機レビュー
BOSEのBluetoothワイヤレス+ノイズキャンセリングのヘッドフォン「Quiet Comfort 35」。2016年夏に日本でも発売開始されており、すでに人気モデルになっています。(7月末の時点で価格コム上位にランクインしており、家電量販店ではヨドバシ・ビックカメラ全店で取り寄せ対応だったので売れているのは間違いないでしょう。)
まずは開封レビューからしていきましょう。
開封・デザイン
外箱もシンプルでコンパクト、開けるとキャリーケースが入っています。
キャリーケースを開けるとヘッドフォン本体が入っています。
(ドロイド君は付属しません)
またBluetooth対応のワイヤレスヘッドフォンですが、有線ケーブルでも使えるようになっっています。ワイヤレスが魅力のモデルなのであまりケーブルを利用する機会はなさそうですが、使う場合は線の細い仕様になっているので断線しないように注意。ちなみに飛行機用の接続プラグも付属。
付属のUSBケーブルを利用してACアダプターやPCに繋げば充電できますが、付属のUSBケーブルはかなり短くなっています。充電時はBluetooth接続が切れたので、チャージしながらの音楽視聴は向いていません。
デザインはBOSEのヘッドフォンそのままというか、QC25からほとんど変わっていません。カラーがブラックもしくはシルバー。ガラス繊維を練り込んだナイロン樹脂を利用しており、ヘッドバンドとバネの回転部にはステンレススチールを採用。耐久性にも優れているのは◯。
上部から見た感じ。こちらも完全にブラックですが、パーツによって少し異なる黒を使用しています。素材は今までと変わらずプラスチック素材が多いですが、非常にシンプルでフォルムが綺麗なので安っぽい感じはしないです。ヘッドバンド内側にはクッション素材と人口スエード「アルカンターラ」を使用。約4万円ということを考えれば、当然と言えば当然ですが。
ここまで見るとほとんどQuiet Comfort 25と外観やデザインの違いはありません。今回のモデルで重要なのが「Bluetooth対応でワイヤレスになった」「業界最高峰のノイズキャンセリング機能」「長時間の充電持ち」という部分にあるので、そこのあたりを詳しく見ていきたいと思います。
Quiet Comfort 35はBluetooth・NFC対応
QC25→QC35になって大きく変わった部分は「ノイズキャンセリング機能を維持しつつ、ワイヤレス対応になった」という部分です。BOSEはノイキャンが有名なヘッドフォンブランドにですが、NC+Bluetoothのフラグシップヘッドフォンがないのは致命的でした。…そんな中Bluetoothで無線接続できるQC 35が発売されたので、今の人気につながっていると言ったところでしょうか。
右イヤーカップにBluetoothのつまみがついています。こちらを少しつまむだけで接続できるので、非常に簡単。なお下の方に目を向けるとNFCマークが。実はNFCでのペアリング機能も使えます。
操作ボタンはQC25はケーブルリモコンでしたが、QC35ではワイヤレスなのでイヤーカップ本体についています。上下が音量。真ん中のボタンは再生・停止が行えますが、2回押しで曲の先送り、3回押しで曲の戻し、長押しで着信を出ずに切ったりする操作も可能です。
ボタンが大きいのでシンプルな操作は簡単で使いやすいのが特長です。
Bluetoothの2台同時接続もOK
複数台でのBluetooth接続がOKなのもQC35の特長。最大2台の同時接続が可能なので、筆者の例で言えばMacBook+ウォークマン、もしくはAndroidスマホ+ウォークマンなどを組み合わせて利用しています。
一台の音楽をストップしてもう一方でYoutubeを再生するなどもスムーズに行えるので、これは便利。また接続している機器はiOS/Androidで提供されている「Bose Connect」というアプリで確認できます。
ちなみに機器を切り替える時は、今再生しているものをストップしてからでないと別機種の音が再生されないです(例えばGalaxyで音楽を聴いている場合、一旦そちらを止めてから、NW-A20で再生を開始するといった感じ)。自動切り替え操作の同時接続ヘッドフォンもあるので、若干操作性が異なるのも考慮しておきたい部分。
BOSE Connectはダウンロードしておくべき
無線接続用、設定用に提供されているアプリ「BOSE Connect」はスマートフォンにインストールしておくべきでしょう。音声ガイドだけでは分かりにくい接続している機器の確認や、音量の調節が可能。設定画面からは音声ガイドの切り替え(日本語あり)などもできます。
またBluetoothの無線接続になったメリットとして「本体のアップデート」も無線で可能になっています。こう言った部分もワイヤレスのメリットと言えるでしょう。
QC35のノイズキャンセリング性能
BOSEといえばノイズキャンセリング性能に関していえば業界トップ、むしろその部分を重要視する人たち愛されているブランドと言っても良いでしょう。すでにPhile-Webでのインタビューでも公開されていた通り、NCの技術自体はBOSE既存製品とそんなに変わらないようです。ノイキャン機能は、ほぼQC25と同じと考えて良いと思います。とにかく静か。ただしBluetooth化による変更点があり、若干の違いを感じる人はいるかもしれません。
ホワイトノイズもほとんど聴こえないので、他者製品でいうと少し価格の安いSONY 100ABNと試聴比較をしても明らかに違いがわかるレベル。静寂感を楽しみたい方にはベストなノイズキャンセリング・ヘッドフォンという点においては、QC25から変わらない部分と言えるでしょう。
実際に外出先でも試聴をしてみましたが、音楽を流していない状態だとノイズは除去されますが、車の走る音は音は小さいですがはっきり聞こえます。ただし、音楽を流すと小音量でもほとんど車の走行音も聞こえなくレベルに遮断性があるので、歩きながら利用するには少し注意が必要なのは付け加えておきます。
きになる部分といえば風切音がたまーに聞こえるのと、歩いていると足音の「ドッ、ドッ」という音が聞こえる部分ですが、これは他のNCヘッドフォンでも多く見られる現象なのでそこまで気にしなくて良い気がします。
では室内試聴の場合。エアコン音、扇風機の音も聞こえないです。カフェで作業中の場合、軽く音楽を流しておけば話し声もほとんど聞こえないので、作業に集中したい人にはおすすめです。ラーメン屋でもTVの音、他人の話し声をシャットダウンしてラーメンに集中することができました。(すする音などは聞こえます。基本的に自分の体から発する音(歩いている衝撃音、食べる音)などは聞こえると思ってください。当然ですが)
人の声は聞こえないと言いましたが、QC35のノイズキャンセリングの聞こえ方としては「人の声が騒音に聞こえない」といった感覚でしょうか。物音は全く聞こえないレベルになるのですが、会話の声は若干ですが聞こえます。完全防音というわけではもちろんないのですが、カフェ内での他人の会話も騒音部分のみ消してくれるといった感覚で、音楽を聴きながらだとほとんど聴こえないという感じです。
よって今回のQC35に関してもNC機能はヘッドフォン最高峰の出来に仕上がっているわけですが、それだけではQC25とそこまで変わりません。では大きな違い・購入ポイントはどの部分にあるかというと、「bluetoothでの無線接続」「バッテリー持ち」という部分にあると思います。
無線接続なのに、長時間駆動のバッテリー
すでに説明した通り、QC35はBluetoothでの無線接続に対応した部分がQC25と異なる部分です。また無線接続になると有線のみだった25と比較して電池が持たなそうなものですが、ワイヤレス接続で20時間、有線接続ならなんと40時間駆動を実現しています。・・・つまり無線対応しつつ、電池持ちも向上しているということ。
実際に利用していると、ライト利用なら1週間持つこともありますし、作業でがっつり利用しても3日間は持っています。これはBluetoothヘッドフォンとしてはかなり強力です。
さらにQC25では単4電池でのバッテリーでしたが、QC35は完全内臓バッテリーの充電式になっています。他のmicro USBケーブルでも充電できることが確認できたので、より手軽に使えるようになったのも大きなポイントでしょう。
ワイヤレス対応も、音質は維持
ただBluetooth化しているだけだと、ワイヤレス化によって音質を損なうといった機種も見かけます。そんな中、NC+ワイヤレスといった仕様になりながら、音質も維持している点は素晴らしいところ。ノイズキャンセリングが強力なので音量が小さくてもしっかり聴けるし、解像度も高いと感じます。
今回のQC35では音量の大小によって本体内のイコライジングを変化させているそうで、小音量では低域を強めにして聴こえやすい環境を作り出しているのだとか。なので音量が小さくてもしっかりと楽しめるし、音漏れを防げるというメリットにもつながっています。
・・・もちろん「より原音を忠実に」というヘッドフォンでもないと思うので、そう言った聴き方をするならモニタリング系のモデルを購入した方が良いでしょう。ただしOC35はイコライジングもBassに偏ったり高音ばかりということもなくフラットな音作りになっているので、割とオールジャンルに楽しめるヘッドフォンのように感じます。
QC35よってQC25からそこまで音質面での違いは感じないのですが「ワイヤレス接続に対応しながら音質は維持」というのがQuiet Comfort 35の魅力と言えるのではないでしょうか。
SBCとAAC、aptXは非対応
今のところ判明しているのはSBCとAACコーデックへの対応です。実際MacでAACを有効にしてみたところ、接続確認できました。(正直SBCとの違いはあまり感じません)aptXは対応していないので、少し遅延がきになる方もいるかもしれません。
aptX非対応は音ゲーなど特別な部分で気になるだけであって、普通にYoutube動画を見たり音楽を聴いたりする場合においては9割9分きになることはないでしょう。価格や発売時期を考えるとaptX対応でもよかったような気がしますが、この辺りは普段使いには許容範囲です。
外音遮断性・音漏れ
NCが強力+イヤーパッドが吸い付くように密着するので、すでに説明した通り外部のノイズや音を遮断してくれます。
音量を大きくすれば音漏れすることは確認できましたが、騒音のある場所でも静かな環境で聴ける部分、またイコライジングが調整されていることから、小音量でもしっかり聴けます。そのため音漏れに関しても、外出先で無理やり音量を上げることがなければほとんど気にしなくても良いのがポイントでしょう。
フィット感
BOSEのヘッドフォン・イヤホンといえば外出先やフライトでの騒音対策、もう1つが「静かな環境での集中作業用」という使い方をすることが多いと思います。筆者もその一人なので、フィット感がしっかりしており、長時間作業用に使えるか?というのは非常に重要な部分。
結論から言うと、私の耳と頭の大きさなら「朝から晩までつけっぱなしでも少し疲れる程度」でした。イヤーパッドは耳をしっかり包んでくれる構造になっており、表面にはプロテインレザーを使用、中のクッションもある程度柔らかい素材を使用しているので、他のヘッドフォンと比較すると格段に快適です。約240gという軽量設計もあるので、頭が疲れることもほとんどありません。
イヤーカップ自体も回転部分から横、縦に調整することができます。一度装着してから少し側面を押して調整すると、頭の側面に沿ってぴったりフィットするので、自分の快適な位置に装着してみると◯。
これは好みが分かれる部分もあるかと思いますが、筆者個人の耳がSONY h.ear on系のヘッドフォン形状、MDR-1RNCMK2などのいわゆる分厚いイヤーパッドに合わず、長時間快適に使えなかったという経験もあります。このような厚いイヤーパッドが少し合わないと感じた方は、QC35をぜひ試してみると良いでしょう。
携帯性・持ち運びやすさ
まずは無線接続が可能なので、ケーブル無しでの持ち運びの利便性は非常に高いです。また専用のキャリーケース(ハード)が付属するので、こちらに入れて安全に携帯することもできます。
見ての通り、左側にはポケットが付いているので有線接続用のケーブルを持ち運べますし、フライト用の変換プラグも右ケースの左下にすっぽりはまるようになっています。
本体自体も折りたたみOKですし、ヘッドバンドの柔軟性もなかなかのものです。手軽にバックパックなどに入れて持ち運べるということを考えると、評価は高いと言えるのではないでしょうか。
Quiet Comfort 35レビュー後の総合評価
「QC25をワイヤレス化しつつ音質も◯、バッテリーも長時間駆動なので、約4万円出す価値はありますよ」というのが率直な評価です。特に作業用に静けさを求めたい方は買わない理由が見当たりませんし、あまり価格が下がっていないQC25をあえて選ぶ必要もないでしょう。BOSEがワイヤレス+ノイキャン搭載機を出すなら5万円はするだろうなというのが正直な予想だったので、買う人にとっては約4万円というのはありな価格設定です。
ノイズキャンセリング機能は間違いなくNo1のヘッドフォンなので、これからヘッドフォンデビューをする人も、他とは違う静寂の環境を体感するにはベストな選択です。まだ試聴したことのない方は、ぜひ家電量販店などで試してみて下さい。
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